懸命に生きる子供たち | アルカスコーポレーション/Arcus Corporation

懸命に生きる子供たち

6月30日早朝6時から開催されたNGO沖縄アジアチャイルドサポート代表理事である池間哲郎さんの講演を聴いた。  毎月、社員には『○月中に読んだ本』というタイトルで自分が読んで良いと思った本をお伝えしているが、数ヶ月前、その中で池間哲郎さんが以前中学校で講演した時の講演録についてお伝えしたことがある。覚えている人もいるだろう。フィリピンのゴミ捨て場、通称スモ―キーマウンテンで懸命に働く子供たちやモンゴルの世界一寒い首都ウランバートルのマンホールに住むマンホールチルドレンと呼ばれる子供達についての講演録だ。池間さんは、沖縄市でビデオ製作の会社を経営する傍らで、アジアの貧しい国々の子供達を救う為の活動を展開しておられる。そして、その活動を記録したビデオや写真を使って日本全国の子供達に世界の貧しい地域の人々と子供達の実情を伝えている。  池間さんの講演録を最初に読んだ時の衝撃は忘れられない。私は、代議士秘書をしていた時代にモンゴルやカンボジア等のアジアの貧しい国々に対する日本のボランティアからの支援物資を送る手配をする為に外務省や在日の大使館と打合せをしたことがある。また、モンゴルから親善交流で来た学生達と食事を共にしたことがある。そんなこともあり、貧しい国々の実情についてかなり正確に知っているつもりであった。しかし、読ませていただいた池間さんの講演録には、私が知るより数段悲惨な子供達の姿が記録されており、本当にショックを受けた。しかし、一番強烈に印象に残ったのは、極貧で衛生状態が最悪な状況下でも子供達の多くが毎日懸命に生きていることである。夢は?と聞かれて「私の夢は、大人になるまで生きることです。」と答える女の子。「いつかお腹いっぱいご飯をたべてみたい。」と答える男の子。彼らは毎日朝から晩まで必死に働いているのである。  一方、今の我々は果たしてどうだろうか。生活を比べれば、比較にならないほど我々が恵まれているはずである。それでも多くの日本人がこの恵まれた国、日本に生まれて来たことへの感謝の気持ちを忘れて今の状況に愚痴や文句を言い、不満だらけの毎日を送っているのではないだろうか。    今、我々建設業を取り巻く環境は特に厳しい。それは、国が構造を意図的に変化させているからであり、受け入れるしか無いことである。苦境、苦境と言ってもアジアの貧しい国々の子供達の現状から比べれば恥ずかしいくらいのレベルである。貧困の中でも懸命に命を燃やして生きているアジアの子供達の姿を見ていると、今の日本人は本当に贅沢である。感謝ということを忘れてしまっていないだろうか。私は、この日本という国に生まれたこと、そして大病を経験したにもかかわらず運良く助かり、元気に仕事をさせていただいている自分の現状に心から感謝し、毎日懸命に生きていきたいと思っている。 平成17年7月