イメージ
近年、我々建設業を取り巻くイメージは悪化の一途をたどっている。耐震強度偽装問題にはじまり、橋梁談合、防衛施設庁官製談合・・・と不祥事が続いて、業界イメージが大きく損なわれている。恥ずかしながら我が社においても、2年前にはまさかの不祥事が発生し、社内体制の抜本的な整備を進めて信頼回復に全力をあげてきた。また、国の財政再建路線により、戦後の復興期以来国民の安全で快適な日常生活を守ってきた公共事業が、近年必要以上に「悪役」になっており、最近増えている地震、集中豪雨などによる大きな災害の発生は、その公共事業を悪役にする傾向に警鐘を鳴らしているようにも私には思える。 そんな中、建設業界もこのイメージダウンの傾向を黙っている訳にはいかないということで、建設業を理解していただく為のパンフレットの小学校への配布や、「子供110番の家」への登録、河川や道路清掃ボランティアなどの活動を通して如何に地元の住民の生活に密着した業界であるかの積極的なアピールを開始した。去る7月28日は、全国建設青年の日であったが、我々富山県建設業協会福野支部青年部会も南砺市城端地内において河川清掃に汗を流した。一社、一社、ひとりひとりの社会貢献の実態を知っていただくことが悪い業界イメージの払拭につながることを願ってやまない。 イメージは、マスコミ報道や人々のクチコミなどを介して形作られる。しかもそれは、断片的な一部分を見ての報道や評価である場合が多い。従って、実態以上に高い評価を浴びる人もいれば、実態と比較して低い評価に甘んじる人もいる。特に、政治家や芸能界に属する方々、著名な経営者などは、実態とかけ離れた評価を受けやすいように思う。私が十数年前まで秘書をしていた鈴木宗男衆議院議員に対する大衆の評価などは、実態以上に悪役のイメージがつくられたひとつの例であり、あのライブドアの堀江社長などは、実態以上に高い評価を受けた例ではないかと思う。このように我々が持つイメージのほとんどは、誰かが作ったものや断片的な情報を基に作られたものを疑いも無く信じているのであり、自分が直接出会ったり、見たり、触れたりして作ったものではないことが多いのではないかと思う。 私も社員130名を超える企業集団の責任ある経営者として出来るだけ良いイメージを持ってもらいたいと日々心掛けているが、どういう訳か身に覚えの無い評価をいただくこともある。例えば、私は日頃の憂さを晴らす為に酒を飲むという習慣は持っていないし、6年前に大病をしてからは、会社の行事もしくはお付き合いで飲みに行くこと以外は酒を飲むことは無いのだが、酒の席をご一緒した覚えの無い方が、私が夜の街で酒を飲み醜態をさらしていたと言っておられたと聞いたことがある。それは間違いなく人違いか、もしくは何らかの誤解だが、しかし、このように他人が人や企業に対するイメージを決めてしまう「真実の瞬間」が存在するからこそ、我々は絶えず企業人として恥ずかしくない行動を心掛けなければならないし、人間性を高める努力を怠ってはならないと自戒するのである。 平成18年7月