ドーナツにかける夢

去る12月14日(日)にフジテレビ系列で放映中の『新報道2001』というニュース番組を観た。

この『新報道2001』のコーナーに、「マネーコンパス」という特集がある。その「マネーコンパス」にその日登場したのは、なんと中学校時代の同級生の山田善久君その人であった。あの楽天㈱の常務取締役、楽天トラベル㈱の社長として「IT業界の風雲児」三木谷浩史社長の右腕として活躍した男だ。

彼は、父親の転勤で小~中学校の5年間ほどカナダに住んだ経験を持ち、我々が通っていた千代田区立の中学校に1年生の時に転校してきた。当然、英語の実力は抜群で、彼の発音はまるでネイティブスピーカーのようであった。そして、その能力は英語だけでなく、数学や国語、音楽、スポーツなどでもいかんなく発揮され、特にガリ勉をしている訳でもないのに常に学年でトップであった。私が彼に勝つことができたのは、日本史と美術くらいだったように思う。実際、彼の描く絵はかなり滑稽であった。(笑)頭も良くてスポーツも優れていれば、普通は傲慢な性格になるところであろうが、彼は一切そんなところを見せず、我々と一緒に野球をやったり、ロックを聴いたり、バンド(当時、彼はべースを担当し、私はボーカルを担当した)をやったりしていた。クラブ活動でも彼はバスケットボール部に所属してとても真剣に取り組み、みごと区大会で優勝して都大会で結構いいところまで行ったという記憶がある。

大学を卒業後、官僚を目指すのかと思っていたら日本興業銀行へ進む。そしてゴールドマンサックス証券を経て日本興業銀行の同僚であった三木谷氏が創業したばかりの楽天へと転身して楽天を大きく成長させた。

その山田君が少し前に楽天を辞めたというニュースが新聞に載った。正直言って驚いた。何とあの楽天の常務のイスを捨てるのである。楽天での輝かしいキャリアや地位、名誉を捨てて次に彼が何をするのかが私の関心の的となった。私の予想では、金融やITの経験を活かして投資顧問業やコンサルタントなどのノウハウで勝負するビジネスをやるのではないかと感じていた。その当時は金融業界が大きく伸びており、金融工学も発達して更に可能性は大きくなるように思われたからだ。

さて、『新報道2001』の「マネーコンパス」に戻る。驚いたことにあの山田君は、『Neyn(ネイン)』というドーナツショップを赤坂サカスの近くに開店してドーナツ屋の店主になっていた。番組内のインタビューで彼は「直接価値を創りたかった。モノづくりをやってみたかった。」と語っていたが、金融やITのトップ企業からドーナツショップとは・・・。しかし、さすがに山田君である。店づくりを始めるにあたり、その道のプロを集めている。アートディレクター、設計士、パティシエ・・・新しいものを生み出すためのその顔ぶれに妥協はない。しかもさすがに世界を見てきた男だけにドーナツで世界を見据えている。pict-neyn.jpg

山田君も番組で語っていたが、今後の道のりは決して甘くはないだろう。しかし、彼の挑戦は我々縁のある人間だけでなく、この厳しい環境下で頑張っている多くの人々に勇気を与えてくれたはずだ。

先日、東京へ出張した時にお店に寄ってみた。先頭に立って店頭で働く山田君を見てなぜか感動した。キャリアや地位や名誉を捨てることは口で言うほど易しくはない。山田君のドーナツへの夢に心よりエールを贈りたい。

neyn HP

http://www.neyn.com/

 

平成20年12月24日