福田首総辞任で考えたこと | アルカスコーポレーション/Arcus Corporation

福田首総辞任で考えたこと

福田首相が辞任を表明した。安倍氏に続いてまたしても突然の辞任であり、さすがの私も驚いた。確かに衆参のねじれ国会という前代未聞の状況(第二院である参議院における事実上の政権交代)と支持率の低迷によって重要法案が野党に全て反対されて全く通らないという大混乱により、少しの福田カラーを出すことも許されなかった。そして熟慮の末に内閣を改造を決行したにもかかわらず太田農水大臣の事務所費問題が出て一層の支持率低迷を招き、また連立パートナーの公明党も福田首相と共に沈む訳にはいかないということで強く独自色を出し始めたために今後の国会運営に全く自信が持てなくなったということであろう。

 今後は、総裁選挙が行われて新たな自民党総裁が決まり、次の総理に任命される運びとなる。既に早い時期での解散総選挙が囁かれているが、ここでひとつ私からの要望を申し上げたい。

 それは、全国会議員の「身体検査」の実施である。自民党だけでなく民主党など野党にいる議員の方々の事務所費も一斉に過去からのデータを調べて欲しい。一定額以上の領収書は添付されているはずであり、調べることが可能になっているはずだ。マスコミの報道によって批判を受けるのが内閣の一員だけでは甚だ不公平である。また、現在の政治の閉塞感を打破するためにも一院制、首相公選制などの実現や選挙制度についても地盤、看板を引き継いだ二世や三世ばかりが増える小選挙区制を見直して高い志を持つ挑戦者がもっとチャレンジできる制度へと手をつけて欲しいと思う。そして、アメリカのように政権政党(内閣)が変われば高級官僚も一変するようにして官僚にも結果責任を求めるようにしたらどうか。別にスト権を与えてもいいではないか。この国では、先のバブル崩壊以後長く続いた平成不況の責任も、この度の官製不況といわれる事態についても責任の所在が全くはっきりしない。これがわが国の行政の一番悪いところであり、これらのつけが民間に回されてきたと言えるのではないかと思う。

 例えば、耐震強度偽装事件の発生により改正建築基準法が施行されたが、性急に規制を強化するより罰則(課徴金)を強化すべきではなかったかと思う。規制の強化は、民間の活力を削ぐことにつながりやすい。事実、分譲マンションデベロッパーとその仕事を請け負った建設会社がどんどん破綻しているが、まさに改正建築基準法によって完成時期が遅れ、資金回収に狂いが出たことによる影響が大きいと言われており、異常な事態である。

 そのような中でも我が社は、不動産事業でも土地活用(賃貸マンション、テナントマッチング)と中古住宅流通・再生事業に特化し、短期間で売上を伸ばす魅力はあるもののリスクの高い分譲マンション事業には一切手を出さなかったことで大きな影響を受けずに済んでいる。分譲マンション事業が駄目だから全ての不動産ビジネスが駄目な訳ではないし、ファンドが去って地価が下落するから不動産ビジネスの魅力がなくなるというのは一面的な見方でしかない。日本の決して大きくない国土を上手に活用して富を生むことが国益にも叶う。規制がへたに強化されなければ将来的にも魅力のある市場であると確信する。人口は減少していくトレンドでも逆に世帯数は増加傾向にあり、ライフスタイルの多様化も進む中での土地活用事業、中古住宅流通・再生事業の将来性はまだまだ高いと考えている。

 

平成20年9月11日