オークス倶楽部総会

 28日は、我が社の古くからのお得意様であるオークス株式会社の協力会オークス倶楽部(岩崎和夫会長)の総会が富山市のオークスカナルパークホテルで開催されて出席して参りました。

 毎年素晴らしい講師をお迎えして行われている講演会の今年の講師は、NHKの『その時歴史が動いた』等で知られる作家であり歴史家である加来耕三先生。「歴史を活用する」というお話をお聴きした。加来先生のお名前は以前から知っていたが、これだけ興味深く飽きさせないお話をなさる方だとは思っていなかったので、予想以上に楽しい時間を過ごさせていただいた。kouen_1.jpg

 好きな歴史上の人物を日本人にアンケートをとったデータでは、一位が織田信長、ニ位が坂本龍馬、三位は何と諸葛孔明であり、これらに水戸黄門、遠山金四郎、大岡越前、石川五右衛門、近藤勇、源義経、山本勘助などのテレビドラマの主人公になった人物を挙げて、これらの人物には共通するものがあるが何か?と質問された。

いろいろな意見が会場から出たが、これらに共通するものとは、実は「全員よく分からない人物」であるということだそうだ。加来先生は「歴史は飛躍をしないが、小説は飛躍をする。」と指摘されたが、まさに我々の持つ歴史認識は小説によって創作された「飛躍した歴史」であると言えそうだ。

 例えば、織田信長にしても坂本龍馬にしても、我々の歴史認識では、織田信長は幼少の頃から「うつけ」で、龍馬も出来が悪く10代の頃まで寝小便をしていたとされる。しかし、その子供の頃はダメなふたりが後に見事に「変身」を遂げて大活躍するところに日本人の心を揺さぶるロマンがあるのだと加来先生は言う。 ryomaimages.jpg

 しかし、加来先生は、歴史を活用するのに大切なことは、地に足の付いた常識に立ち返って歴史を考える癖を持つことだと仰る。歴史を学ぶと「一発逆転はこの世には無い」ということが分かる。織田信長や坂本龍馬が活躍するには、それなりの理由があったのであり、例えば龍馬は、後に亀山社中という貿易商社を創ってオランダとの貿易を始めるが、それは若い頃からしっかりオランダ語を学んでいるからであり、そのオランダ語を駆使して最新の世界の情勢をつかんでいたからこそ薩長同盟や大政奉還へと影響力を発揮できたというのが歴史を地に足の付いた常識から学んでいくと行き付く結論であるということだった。

 そういう視点から言えば、話題の『篤姫』もドラマとしては面白いかもしれないが、常識的な歴史から見ればとんでもない飛躍した物語であるということである。

 加来先生から学んだことは、

「歴史は疑ってかかれ!」…感動的な作品に出会ったら、それが成り立つかどうか立ち止まって考えよ

「奇跡や偶然を排除せよ!」…考えの中から奇跡や偶然を排除して物事を考える癖をつけよ

「数字で考えよ!」…数字という合理的なモノの考え方を持て

 いわゆるロジカル・シンキングのような考え方で歴史を考え、活用しなさいということであったと思う。今、我々が置かれている状況は、色々な点で現状を正しく認識をする必要に迫られていると思う。

 ところが、厳しい現実にはなかなか正しく向き合えないことも多いのが実情である。一発逆転や奇跡、偶然にすがりたくなるのが人情だ。しかし、そんな時だからこそ、我々は加来先生が仰るように全てを常識的に見るように心掛け、分からないならは常に原点(創業の精神、理念)に戻って考えることが必要である。全ての答えは過去にあるのだ。

平成20年8月1日