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ヤンキースの松井やホワイトソックスの井口の不参加で盛り上がるか心配する向きもあったWBC(ワールドベースボールクラシック)の第一回大会が、日本の奇跡的な優勝で先日幕を閉じました。王監督の存在や選手起用も優勝に大きく貢献したと思いますが、何と言ってもメジャーリーグで活躍中のマリナーズイチロー選手の実質リーダーとしての言動が、個性派集団をひとつにまとめることにつながり優勝へ導いたと言って過言ではないと私は感じます。普段「孤高の人」「天才」「修験者」等のクールなイメージのあるイチロー選手が日の丸を背負い、自国に対する愛着を剥き出しにした熱い姿を見せてくれたことが、他の選手はもちろん観ていた日本人の多くの方々をひとつにしてくれました。このWBCを通じて日本中が大きな感動を感じることが出来たのもイチロー選手に負うところが大だったと確信します。  昨シーズンのイチロー選手は、年間262安打というメジャーリーグ記録を打ち立てた後だっただけに自分の野球に対するモチベーションを上げるのに恐らく大変苦労したのではないかと想像しています。現に昨シーズンのイチロー選手の成績は、彼にしては満足のいくものではなかったように感じます。長年マリナーズを率いてきたルー・ピネラ監督がチームを去ってからというもの、マリナーズは毎年最下位争いという状況です。当然、チームの士気は盛り上がるはずもありません。そんな状況下のイチロー選手にとってWBCは、自分のモチベーションを高めるには絶好の場であり、彼にとって初めて日の丸を背負って戦うということが大義となったのは間違いの無いところです。日本代表として戦うという大義を得て、目標に向かってモチベーションを高めることができたことが今回の最高の結果につながったのでしょう。  一方、我々企業経営者にとってもモチベーションを高めるということが大事だということでは全く同じです。企業経営をしていますと、いい時もあれば悪い時もあります。いい時は放っておいてもモチベーションは高まります。しかし、悪くなった時にどのようにモチベーションを高めていけるかが大事だと確信します。私にとっては、経営者となった時が最悪な状況でした。解決しなければならない問題、課題が山ほどありました。しかし、経営者としての経験も知識もありませんでした。正直申し上げて当時あったのは、高いモチベーション=やる気だけでした。現在も問題や課題をひとつづつ解決しては、また新たな問題、課題に直面するという繰り返しですが、振り返ってみると、どんな時も自らのモチベーションだけはいつも高く持ち続けられたように思います。そして、その理由こそが経営理念の中に込められた強い想いだと確信します。  岩崎グループが今後も世の中に必要な企業として貢献し続け、信頼、感謝される企業となっていく為にも高いモチベーションの維持が必要です。高いモチベーションを維持する為には、企業経営の大義とも言える経営理念の理解と実践が欠かせません。この度、WBCを観戦ながら経営理念の大切さを再確認させていただきました。                               平成18年4月